雪山で顔の表情をスマホでキレイに写すツボは「露出」
スマホを含め、最新のカメラのオート機能はとても優秀。被写体の色や周囲の光の状態、さらには距離感などを演算し、もっとも美しく撮れる設定を導き出してくれます。
ただし、雪山のゲレンデは光の反射が強烈。普通の街中などとは違い、周囲はケタ違いに明るい環境です。
そんな状況のなか、オートモードで撮影するとカメラは自動的に露出を絞ってしまう(光を入れないようにする)ため、白い雪以外の部分、例えば人物の顔などが暗めに写ってしまうことがあります。
逆光で人を撮影すると、表情がわからないほど顔が暗く写ってしまうのと同じ理屈ですね。よく晴れた日ならば雪面からの光の反射で人物が浮き上がり、オートでもそれほど問題はありませんが、特に曇りの日などはご注意。
そこで、マニュアルモードのあるデジカメを使用している人は、露出補正といって、絞りを少しだけ(1段階程度。例えば露出値が5.6なら、4に)開ける設定にしておくといいでしょう。
一方、オートモードしかないスマホのカメラ機能でゲレンデの人物撮影をするときは、画面の中で白い雪の写る範囲をなるべく少なくし、人物をアップ気味にするのがポイント。人の顔に当たる光の量をカメラが優先的に計算してくれるので、顔が暗く沈むことなく明るめに仕上がります。
寒さで撮影できなくなる?! バッテリーの冷やしすぎに注意
撮影テクニックというわけではないけれど、もうひとつ注意すべきは、雪山の気温は充電式のバッテリーで駆動するカメラには非常に過酷だということ。電池を使用するデジカメならさほど問題はありませんが、スマホなどをウエアの外側のポケットに入れていると、寒さのせいで電源が落ち、そのまま回復しなくなってしまうこともあるので注意しましょう。
これは、充電量がなくなったわけではなく、冷えによってバッテリーが一時的にダウンしてしまうからです。室内で充電器につなげばアッという間に回復しますが、でも撮りたいときに「使えない!」というのでは困っちゃいますよね。
スマホなどは、できれば内ポケットに入れておき、外気で冷やさないようにすることも必要な配慮といえます。
インスタ映えする撮影テクニックを駆使して決めショットを撮る
雪山では日常見ることのない幻想的なシーンが目白押し。そんな状況下での写真撮影はカッコよく、思い出にも残ります。単にその辺でニコパチするばかりでなく、すてきに写りそうなシチュエーションを積極的に探してみてはいかが? いわゆるロケハンのオススメということで、撮影のプロはどんな状況だとカッコよく写るかを熟知しています。そこで、プロのセオリーをちょっと紹介しましょう。
■雄大なショットを決めるには「稜線撮影」(りょうせんさつえい)
空を背景にした撮影は、人物を際立たせます。ゲレンデは起伏に富んでいるので、ちょっとした凸の部分や稜線の上に人物を立たせ、下から撮影すれば空がぬけた1枚に、また逆に上部から撮影すれば、遠くの景色をバックに人物を浮き上がらせた1枚が決まります。
■幻想的な霜氷をバックに下から煽るように撮影したワイルド・ショット
雪山の幻想的なシーンはいろいろあるけれど、お手軽に見つかるのは霧氷。コース横の林などにちょっと目を向ければ、前日の天候や状況によって凍りついた木々が絵葉書のような雰囲気をかもし出しています。まさにインスタ映えするロケーションです。
■広大な自然が広がるロケーションを最大現に生かしてポーズ!
無意識にゲレンデで撮影していると、リフトや施設の建物などが写り込みがち。それはそれでいいのですが、白樺など、雪山っぽいロケーションをバックにパチリと決めてみては。
説得力ある構図で撮影。適正な距離感を見つけよう!
「すごく迫力のある風景だったのに…」
「最高の笑顔の瞬間だったのに…」
「絶好のシャッターチャンスで瞬間を捉えたのだけど、どうも迫力や臨場感が……」
そんなときは、一歩前に出てカメラを構えてみましょう。
使用するレンズの焦点距離(広角レンズが望遠レンズか)によっても違いますが、プロやハイアマチュアのカメラマンは、想像以上に被写体に寄って、そこから構図を決めていくものです。
一般の人は、離れたところから撮り始め、徐々に近づいていくので、構図に「遠慮」が出てしまい、それが「臨場感のなさ」につながってしまうのです。
また、人物写真であれば、頭のてっぺんが構図内に収まっていなくてはいけないなどとルールを決めつけてしまうことで、かえって表現の幅は狭まってしまいます。スキーやスノーボードの滑走写真だからといって、スキー板やボードが写っていなければいけないなんてこともありません。
それよりも、自分が何を撮りたいのかを考えて、それだけをクローズアップするようにすると、テーマが明確になり、見る人に説得力を与えることになります!
インスタグラムの画像加工機能で何気ない写真をアーティスティックに
インスタグラムには画像加工機能が付属しています。本格的な画像加工ソフトほどではありませんが、それでも撮影した写真の色味や明るさを補正したり、ちょっと雰囲気を変えることは可能です。せっかくなのでこうした機能も利用してみましょう。
■「ノスタルジック調」に仕上げて、何気ない風景をオシャレに!
ノスタルジック調のイメージは、古いフィルムカメラで撮影した感じ。左がオリジナル、右が加工後です。全体的に色が褪せた感じになっていますね。
「印象的な風景を撮影したけれど、写真になったらピンとこない…」なんてときに試すのがおすすめ。反対に「インパクトのない風景でも、それなりに見せてしまう」という性格もあるので、覚えておくと便利な画像加工の方法です。
■HDR加工で、インパクトを出す!
HDR加工とは「ハイダイナミックレンジ」の略で、写真画面内の明るい部分と暗い部分を同時に表現するもの。HDR加工された写真は、色がカラフルに見え「ポップ」なイメージになります。効果の強弱加減によっては、「絵画」のようなタッチに仕上げることもできますし、かなりドラスティックな変化を楽しめる加工といえます。
しかし、やりすぎると、どれも同じ写真に見えてしまったり、やや品のない雰囲気になってしまったりするのでご注意。インパクトは抜群ですが、使いどころを間違えると大失敗するという難しい加工でもあるのです。最初から強い効果にせず、控えめな効果から試していくのがコツです。
■クールな印象を見る人に与える「モノクローム」表現をマスター!
モノクローム、つまり「白黒」表現もマスターしておきたい画像加工のひとつ。撮影時にカメラをモノクロ設定して撮れば、後から加工する必要はないけれど、多くの場合はカラー撮影しておいて、後でモノクロに加工するといったスタイルでしょう。
モノクロームがもっとも効果的なのは、影を表現したいとき。また、直線的な造形が画面内に多いときに使うと、都会的でクールな印象が出せます。
光の強いゲレンデでは、白黒の濃淡を強調するとまた一味違った印象の写真に。とくにスキーやスノボで滑走しているシーンを撮影したなら、モノクロームに加工するとシュプールが浮き上がって意外にカッコイイ写真になることも。
いかがでしたか? シチュエーションや構図、スマホの使い方ひとつで一枚の写真がこんなに変わります。 ちょっとしたコツをひとつ知っているだけでも見せ方は随分かわるもの。スマホなら写真だけでなく動画も思い出になるかもしれません。
ぜひいくつかのポイントをマスターして、素敵なゲレンデ・ショットを決めてくだみてください。