スキー場に車で向かう場合、普段の道とは違う状況が待っています。運転方法も違いますが、標識やスタッドレスタイヤなど大事な知識も必要です。
凍結している状況とはどれだけ危険なのかなど、スキーを楽しむためにも安全に対する意識を高く持って運転をすることが大切です。
雪国だからこそいつもと違う標識がある!
雪の中で運転するのは、乾いた道路とは全く違います。降雪していれば視界は悪く、タイヤも滑りやすくなっています。道路の状態としても、雪が積もれば都市部とは違った状況が生まれます。そこで、視認性をあげるために交通標識などにも違ったものが使われているので、事前に知っておきましょう。
代表的なものとして、絶対に知っておくべきなのが、スノーポールです。正式名称は固定式視線誘導柱という装置で、路肩などに建てられています。この位置に路肩があることを示している大事な装置です。雪深い中でもわかるようにLEDが点滅するものもあり、見つけたときには、これだけで道路幅がわかるでしょう。
同じ意味を持ちますが、異なる標識もあります。形状はポールから下向きの赤白ストライプの矢印標識が取り付けられています。この下が路肩であることを示している標識で、豪雪地帯で使われるようになりました。正式名称は矢羽根付きポールです。
雪が積もると、横型の信号も見にくくなるため、縦型の信号が使われている場合もあるため、安全運転を心がけるためにも、大事な情報を見逃さないようにしましょう。
こんな状態がある雪道
道路に雪が降ると、さまざまな変化が生まれてきます。雪が降りたてのときは、新雪がとても危険です。ふわっとした新雪が積もると、側溝もはっきりとわかりません。軽い雪のため、風に舞ってしまい、ホワイトアウトと呼ばれる状態で視界が奪われるケースも少なくないため、十分な注意が必要です。幹線道路では、先行車のわだちなどが見えて判断もできますが、脇道などに入るときにはかなり危険があるのを理解しておくといいでしょう。
逆に圧雪された路面は、状態の把握が大切です。強く圧雪された状態は、タイヤが路面をとらえられず滑ります。この状態がさらに進むと溶けて凍ったアイスバーンとなりますが、急激な操作は大変危険です。スタッドレスタイヤを履いたとしても、圧雪もアイスバーンも止まらない可能性を考慮して運転が必要です。ブレーキも3倍以上の距離を取り、余裕を持って運転しなければいけません。
最も怖いのが、なにも凍ってもいなそうに見えるブラックアイスバーンです。アスファルトが見えるため安全と思ってしまいますが、実は凍って透けて見えているだけで、曲がらず止まらない状態です。スピードを出してしまいがちな状態で、大変危険です。雪がやんで暖かくなり、溶け始めて夜になって冷えたときなどはブラックアイスバーンに十分注意しましょう。
雪で起きるさまざまなトラブル
雪が降ったら、まずは自分が滑ったりしないように靴の裏を払ってから乗ります。車の雪も落としてから運転するのが大切です。走行中に落下して、後ろの車にあたれば、それだけで事故につながることもあり得ます。
急発進や急加速、急減速もしないように運転します。急がつく走行は雪の中では厳禁で、この動作だけで滑り出し、制御できない可能性があります。一度滑り出せば、容易に止められないため、絶対にやってはいけません。そのため、車間距離も通常よりも大きくとります。
ワイパーは、ゴムでできた製品です。温度が下がるとワイパーがウィンドウに張り付いてしまうことがあるため、停車したときには必ず立てます。ワイパーの上に雪が積もると重さで動かせないこともあるためワイパーは立てておきましょう。
速度も出せず、ゆっくりと停車するようになれば、時間もどんどん消費します。安全のためには、余裕を持った計画が必要です。実際にどのような天気になるのか、事前に調べておくのは、大切なことです。天気があまりものに荒れると予報されているなら、スキー自体をキャンセルする勇気ももちましょう。
雪の中でバッテリーが上がることも
車を運転する人は、必ず覚えておく必要があるのは、バッテリーは温度が下がると弱いという点です。最低限の知識として、バッテリーは充電されていく装置です。このバッテリーの電気を使ってエンジンに火を入れるほか、ライトやウインカーなどもバッテリーが使われています。冬になると内部のバッテリー液の温度も下がり、本来の性能を発揮できない状態です。外気温が0度のときには、80%程度の性能しか発揮できず、マイナス20度になると50%も発揮できないといわれています。
さらに、エンジンをかけるときにも、内部のオイルが固くなり、大きな負荷がかかる状態です。そのエンジンをはじめに回すバッテリーには、さらに大きな負担になるでしょう。
上がってしまったら、ブースターケーブルを使ってかけるしかありません。別の車の持ち主に頼んで手伝ってもらう方法しかないため、冬場は特にブースターケーブルを装備しておくと便利です。まずは、自分のバッテリーのプラス端子に赤のケーブルをつなぎ、相手の車のバッテリーにも同じようにプラス端子へケーブルを接続します。次に相手の車のバッテリーのマイナスに黒のケーブルをつなぎますが、ここで自分の車のバッテリーにつないではいけません。自分の車の中でも、塗装されずに金属部分が出ているところにつなぎます。アースポイントと呼ばれている部分で、つないだ瞬間に火花が出るためすぐにわかるでしょう。
つなぎ終わったら、相手の車のエンジンを掛けて、回転数を2000回転をめどにあげてもらいます。次に自分の車のセルモーターを回してエンジンを掛けてかかればOKです。エンジンがかかったら、取り付けたときとは逆の順でブースターケーブルを外していきます。
凍結するウォッシャー液に注意
雪道を走るうえでは、ウォッシャー液は大切です。雪だけではなく、前走車から汚れが混じった雪が飛んでくる場合もあり、ウォッシャー液を使ってきれいにするのは視界を確保するためにも必要になります。もし、ウォッシャー液が凍結してしまえば、噴出しなくなるので対策が大切です。
ウォッシャー液は、アルコールを主成分として、凍りにくいようにしています。問題は濃度で、水で薄めてしまえば凍りやすくなるのが問題です。標準的に使われているのは、原液1に水1ぐらいの割合です。しかしこれでは、マイナス2度程度の外気で凍結してしまいます。そこでウォッシャー液を100%の濃度にすることで、凍結防止につながるでしょう。
もしも凍ってしまったときには、エンジンを掛けて待機しておけば、内部の熱で溶けていきます。ノズルが凍るときもありますが、こちらはぬるま湯などを掛けて溶かすしかありません。
駐車場で雪に埋まって動けない
車で新雪に入ってしまい動けなくなったり、スリップしてしまった状態をスタックしたと呼びます。雪が降ったときには雪道だけではなく、こうした状態から抜け出す方法も知らなければいけません。
タイヤが雪面をとらえる状態を作るのが第一ですが、そのためには周りの雪を取り除く、もしくは踏み固めてください。豪雪地帯であれば道路側に砂箱が置いてあることもありますので、これをタイヤ周辺に撒くだけでも摩擦が増えて出られる場合もあります。チェーンがあるなら、スタッドレスタイヤの上から装備するといいでしょう。
樹脂製で緊急脱出用に使用するスノーヘルパーも販売されていますが、なければバスタオルや新聞紙をタイヤの前にかませてみるだけでも違います。
まとめ
雪道の運転は、細心の注意を払うことが大切です。安全に到着するために、車は雪用の装備にして、できるだけ時間にも気持ちにも余裕を持って運転しましょう。
運転したことのない人は、想像以上に難しい状況も出てくるため、経験者に運転を見せてもらって慣れてから雪道に出るというのも考えておきましょう。