スキーやスノボを題材にした漫画はいくつかありますが、そのどれもが良くできていて面白いものばかりです。漫画は現実とは違うと一概に決めつけることなく、読んでみることをおすすめします。技術的な面でも丁寧に描かれているので、自分の滑りにも参考になります。
スキー・スノボを題材にした漫画
スキー場を舞台に、スキーやスノボの競技で活躍する主人公を描く漫画をいくつか紹介します。
スノードルフィン
原作:有森丈時 漫画:大石知制
この漫画はゲレンデを舞台にしたもので、数々のスキーチームが自分のプライドをかけて戦う、スキー好きにはたまらない作品です。主人公の群青勇樹は、父親の友人が経営するペンション「ドルフィンズ・イン」でアルバイトを始めるのですが、彼はスキー競技には欠かせない並外れたバランス感覚と、強い脚力の持ち主だったのです。その彼を中心として、様々なライバルとのし烈な激闘が描かれています。白馬を舞台に、白銀に光る雪山をバックにして繰り広げられる数々のスピード勝負、そしてゲレンデに描かれる鮮やかなシュプール、それらすべてが爽快で、スキーの醍醐味であるスピード感あふれるものになっています。
SHREDDERS
作:MUSASHI
この作品は、少年ジャンプがスポーツ専門チャンネル「J SPORTS」とともに開催したスポーツマンガ賞で、大賞を獲得した作品です。主人公は沖縄生まれで雪さえ見たことのない大学生。そんな彼が大学入学と同時なぜかスノーボードをすることになってしまいます。スノボは全くの素人だが、あるのは元気とスタミナ。そんな彼の奮闘の日々が語られています。スノボの持つ面白さや特徴、そして魅力がしっかりと描かれている作品です。
バックフリップ
作:玉置一平
プロレスラーになりたくて学校をやめてしまったおバカな高校生の真田サスケが、同じ日に会社を辞めた父親と一緒に長野の山奥に引っ越してきます。そこで彼はスキー競技のモーグルと出会い、その面白さに目覚めていきます。モーグルのことをよく知らないまま大会に出てしまうというハチャメチャぶりは大いに笑えます。
100mジャンパー
作:高橋陽一
北斗千春は、小さいころからジャンプ競技に打ち込んできた高校生。彼は地元の期待を背負ってラージヒルに挑戦をします。日本のトップクラスが出場するこの大会で、狙っているのは100メートルの大ジャンプ。幼馴染のみゆきとの恋愛模様も絡み合って、目が離せない作品となっています。
ノノノノ
作:岡本倫
スキージャンプ界に突如現れた新星・野々宮悠太は、実は男装した女の子。彼女の夢は、オリンピックのジャンプ競技男子の部で金メダルを獲ることだった。男子のふりをしての寮生活のドキドキや、ライバルとの闘い、友情が描かれています。
スキー場が舞台の漫画
スノボやスキーといった競技に焦点を合わせたものではなく、スキー場そのものを舞台にした漫画にも面白いものがあります。
金田一少年の事件簿
原案→原作:天樹征丸 原作:金成陽三郎 作画:さとうふみや
・氷点下15度の殺意
青森県の津野スキー場で、スキー部によるスキー教室が行われることになりました。そこに参加した一と美雪ですが、その部内には2か月前に起きた事故へのわだかまりが残っていました。そういった中でスキー部のチューナーである白峰辰貴が何者かに襲われ、雪の中で発見されます。
・雪鬼伝説殺人事件
美雪は、友人の代役として東北にあるスキーリゾートへ、アルバイトとイメージガール候補として、一と共にやってきます。事件の舞台となる雪鬼ヶ岳には、一人の少女を残して村人全員が雪鬼に惨殺されたという伝説が残っていました。そんな中、高校生の雲沢夏樹が突然姿を消します。さらにスキー板や無線機もなくなり、リフトまで止まってしまいます。雪山に閉じ込められた一たちに、伝説の雪鬼の恐怖が襲い掛かります。
名探偵コナン
原作:青山 剛昌
・服部平次vs工藤新一 ゲレンデの推理対決
この事件は、平次が中学2年の時に起きたもので、学校のスキー教室で山形県蔵玉スキー場へ行った折に遭遇したものです。平次はそこで、「雪女の銀衣伝説」をもとにした映画を撮影しているスタッフと出会います。そして、平次は彼らから、4年前にその伝説に見立てられたような自殺騒動があったと聞かされます。一笑に付す平次でしたが、映画の主演俳優である箕輪奨兵が、4年前と同じようなありさまで死亡します。警察は自殺と断定しますが…。
・スキーロッジ殺人事件
長野のスキー場に遊びに来ていたコナン、蘭、園子は、小学校時代の恩師、米原晃子に再会します。晃子たちが借りている貸別荘に泊まることになった一行。そこで園子と米原が相次いで襲われ、後で合流するはずの米原の同僚杉山が絞殺体となって見つかります。
・沈黙の15分
朝倉都知事に何者かから脅迫状が送られてきます。カギを握るのは、朝倉が国土交通大臣時代に建設されたダムにあると感じたコナンは、犯人を追ってダム建設で沈んだ新潟県北ノ沢村へ向かいます。そこで幼馴染5人組と出会い、その中の一人が雪原の中、死体で発見されます。
ミステリー以外は、メジャーな漫画は少ない?
スキー場を舞台にした雪山でのスキー・スノボのメジャーな作品は、こうしてみると案外少ないです。また、スキー場を舞台にした恋愛ものも少ないのは、意外な傾向といえます。ただ、金田一少年の事件簿や名探偵コナンのように、ミステリーものに傑作が多いようです。
何故なのか?
スキーやスノボは、基本的に個人競技になります。そうなると、どうしても1対1の勝負になり、ライバルとしのぎを削るような描写が多くなっていきます。スポーツを題材にした多くの漫画では、努力・友情・勝利という三つが描かれており、それらは団体競技だからこそ表現しやすい題材といえます。また、スキー場が舞台になると、主人公はどうしてもゴーグルや帽子で顔を覆うことになり、競技中の表情などが描かれずに終わってしまいます。これも欠点の一つといえます。
雪山を舞台にした恋愛漫画が少ないのは、これも必然ともいえるものです。なぜかというと、最初の出会いはゲレンデであっても、その後の展開が他の場所に変化してしまうことが多いからです。これは四季がある以上仕方がないことで、ひと冬だけで恋愛が完結しないからといえます。
さらにスキーやスノボをテーマにした漫画が少ない理由の一つとして、スキー人口が減っていることも挙げられます。これは若者のスキー離れが原因となっており、遠因として、簡単にスマホでゲームを楽しめることや、SNSの普及がゲレンデに向かう足を遠ざけているとも言われています。
ただ、これに対して、雪山を舞台にしたミステリーは数多く見られます。これは雪山自体が閉じ込められた自然の密室であり、雪により下界との接触ができなくなった場所においては、何が起こっても不思議ではないということが、ミステリーには格好の舞台となるからです。
映画には大ヒットがあった!
映画が大ヒットした事でスキーブーム
雪山を舞台にした漫画はあまり多くありませんが、映画には大ヒットしたものがありました。それが「私をスキーに連れてって」です。これは会社では冴えない商社マンで、女性と話すこともできない主人公が、ひとたびゲレンデに出ると名スキーヤーに変身するというもので、その主人公とヒロインとの恋模様を描いています。この中で、もてない主人公がゲレンデマジックともいうべき現象で、一気にヒロインとの恋に発展していくのです。因みにゲレンデマジックとは、ゲレンデに立つと普段よりも異性が魅力的に見えるという現象のことを指します。男性には女性がキュートで可愛らしく見えたり、女性には男性がカッコよく見えたりします。
面白いスキー漫画があればスキーブーム再燃の可能性も
映画が大ヒットした事でスキーがブームになったように、それと同じようなことが漫画にも言えるかもしれません。もし、今面白い漫画があれば、スキーやスノボブームが再燃することもあり得ます。そして、そのことにより雪山では、ゲレンデマジックによって結ばれるカップルが数多く誕生する可能性も大きくなります。
素敵な出会いがあるかも
恋をしたい人は、この冬、バスツアーを利用してスキー場へ行ってみてはどうでしょうか。また、漫画のネタで困っている人も、ゲレンデに立つことで、思いがけないアイデアが浮かぶこともあります。雪山を舞台にしたものが少ないだけに、それが大ヒットすれば一躍人気漫画家になれる可能性もゼロではありません。
まとめ
スキーやスノボなどスキー場を舞台にした漫画には、面白くておすすめのものがいくつかあります。そのどれもが個人競技としてのモーグルやジャンプ、あるいはスノボを描いており、読んでみると思わず引き込まれるような内容と迫力に満ちています。また、ゲレンデには不思議な恋のマジックが存在しており、漫画や小説に負けない恋の花が咲く可能性に満ちています。