《 Part1 スノーボードに慣れる 》に続いて、Part2では連続ターンをマスターするまでの流れをご紹介します。
Step3 両足のブーツをボードに装着して斜面を滑る
初歩の山回りターンができるようになれば、ボードを横にズラしていく感覚もつかめているはず。このボードの横ズレを発展させていくことで、自然に連続ターンに結び付いていきます。
⑩ターンの基礎、横滑りをスムーズに
横滑りはスノーボードでターンしていくための基礎となります。カカト側(バックサイド)と、つま先側(フロントサイド)の両サイドともスムーズにできるようになれば、連続ターンも難しくありません。
バックサイドの横滑りはカカトに体重を乗せ、顔を上げて進行方向遠くを見るようにすると上体がリラックスし、バランスが取りやすくなります。
フロントサイドの横滑りはつま先に体重を乗せ、視線は体の後ろ(進行方向)に。このとき、体をひねりすぎないように注意しましょう。
バックサイド(カカト荷重)の横滑り。下を見たり前屈みになりすぎたりするとカカト側のエッジングがグラグラと不安定になり、横滑りがぎこちなくなってしまう。遠くを見てリラックスして滑ろう
⑪ジグザクの横滑り、木の葉落とし
横滑りしながら、左右の足への荷重配分を変えてみましょう。すると横滑りしていく方向もジグザクに変化していきます。
荷重を変える方法としては、肩を左右にちょっと傾けてみるのが簡単です。ジクザグな横滑りはペンジュラム、通称「木の葉落とし」といいます。
木の葉落としをしているとき、さらに見る方向を変えていくとボードの横ズレが丸みを帯びてきて、少しずつにターンに結び付いていきます。
バックサイドの木の葉落とし。横滑りしながら左右足への荷重を変化させてみよう
フロントサイドの木の葉落とし。後ろ向きに滑るので、安全のためにも進行方向をしっかり見るように。また、視線を移動することでジグザグの横滑りがスムーズになる
⑫ノーズドロップで谷回りワンターン完成
ノーズドロップとは、横滑りしているときにノーズを谷方向に向けて、直滑降にしていく方法です。
横滑り状態から体の力を抜き、ノーズ側に体重をかけていくとボードは自然に谷方向に向きを変えていきます。この部分を谷回りといいます。ただ、このまま放っておくとどんどんスピードが出ていってしまうので、今度は逆向きの横滑り(山回り)でスピードコントロールします。
バックサイドのノーズドロップから谷回り。写真では2コマ目に左足に荷重を移していくと、自然にノーズが谷に向いていく。このとき、左腕を進行方向に伸ばしてあげると体重移動がしやすくなる
フロントサイドのノーズドロップから谷回り。つま先荷重の場合はフォールラインに対して後ろ向きになるので、視線はしっかりと進行方向を見ていくこと
Step4 連続ターンを仕上げ、初級から中級にステップアップ
ここまでくれば、緩やかな斜面であればある程度スノーボードをコントロールできようになっていることでしょう。いよいよ連続ターンにチャレンジし、初級から中級レベルにステップアップしていきます。
⑬ノーズドロップの谷回りを繰り返し、初歩の連続ターン
横滑りからノーズドロップ⇒反対側の横滑り⇒ノーズドロップ⇒また反対側の横滑り、というように繰り返してみましょう。まだ横ズレが多い状況ですが、これでほぼ連続ターンをしていくためのベースが出来上がりました。
ノーズドロップからの谷回りターンを左右繰り返すことで、連続ターンになっていく。無理に曲がろうとせず、あわてずにこれまで練習してきた一つひとつの動作をしっかり行うことが大切
⑭徐々にスピードアップし、スムーズな連続ターンへ
初歩的な連続ターンができるようになれば、あとはその動きを洗練させていくだけ。どんどん滑り込んで、なめらかにターンしていく感覚を養っていきましょう。
横滑りから少しずつエッジを立てて、ズレの少ないターンに仕上げていく
Step5 <おまけ>グラウンドトリックのいろいろなワザで楽しもう
スノーボートには、単にゲレンデをターンして滑り降りるだけでなく、いろいろな楽しみ方があります。グラウンドトリック(グラトリ)もそのひとつ。グラトリは、ボードのテールやノーズを浮かせて滑ったり、ボードのしなりの反動を利用してその場でジャンプしたり、あるいは180度、360度クルリとスピンしたりするワザです。
連続ターンができるようになってある程度ゲレンデを自由に動けるようになったら、このグラトリにチャレンジしてみませんか。まずはその基本ワザを紹介しましょう。
先端を持ち上げるテールプレス
後ろ足に体重をかけて、ボードのノーズを持ち上げます。最初は平地で止まった状態でトライしてみるといいでしょう。後ろ足は膝と足首をよく曲げ、前足は伸ばします。この状態をキープしたまま滑ることをマニュアルといいます。
腕をしっかり広げてバランスをとる
テールを持ち上げるノーズプレス
テールプレスの逆に、ノーズに荷重してテールを持ち上げるテクニックです。前につんのめるようなイメージなので、最初はちょっと不安になるかもしれません。こちらは前足を曲げ、後ろの足は伸ばして重心をノーズ側に移動します。
意識としてはノーズを中心にボードをしならせるイメージ。すると自然にテールが持ち上がる
ボードのしなりを使ってジャンプするオーリーとノーリー
ボードをしならせ、その反動を利用するとその場でジャンプすることができます。テールプレスの状態から反動を利用して跳び上がるのがオーリー、逆にノーズ側の反動を利用するのがノーリーです。
オーリーとノーリーはグラトリの基本。このワザをきっかけにしていろいろなトリックを展開するケースが多いので、しっかり感覚をつかんでおきましょう。まずは静止状態で練習し、徐々に滑りながらジャンプにトライしていきます。
オーリー。テールプレスからボードのしなりを利用してジャンプ
ノーリー。ノーズプレスから反動を利用して一気にジャンプ
まとめ
Part 1とPart 2を通じて、スノーボードで初めて雪の上に立つ段階から、初歩の連続ターンに至る練習の流れ、そして簡単なグラトリのワザを紹介しました。これで、スノーボートの上達の過程がある程度理解できたのではないかと思います。
あとは実践あるのみ。スキーでもスケートでも、バランス系のスポーツは、結局は慣れるしかありません。しかし、一度マスターしてしまえば、その感覚は二度と忘れることはないでしょう。この記事を参考に、この冬はぜひ楽しいスノーボードライフを満喫してください。
蓬田廉さん
今回の技術撮影にあたってモデルになってくれた蓬田廉(よもぎた・れん)さん。現在、神立スノーリゾートをベースにハイレベルなプロのスノーボーダーを目指して活動中。
インスタグラムアカウント:@y.ren0609