多くの人は夏の水分補給には気をつけますが、冬はあまり気をつけない傾向にあります。しかし、案外冬に脱水症状になってしまう人は少なくないのです。なぜ冬にスキーやスノボを楽しむ人達は、水分の補給が十分に行われていないのでしょうか。その原因と対策について説明します。
夏だけではなく冬においても、スポーツをする際は水分の補給が必要
冬は脱水症状に陥りやすい
冬は夏とは違って脱水症状を起こす人は少ないと考えている人も多くいますが、冬にも脱水症状は起こります。例えば毎年正月に行われる箱根駅伝では、選手が脱水症状を起こして棄権するケースも発生します。外気温が低い環境では水分を失っているという自覚が少なくなりがちです。
また、運動による発汗によって確実に水分が失われているのに、それに見合う水分の補給がなされていないことから起こっています。人は一般的に体重の1%の水分が失われれば喉の渇きを感じ、2%で脱水症状による運動能力の低下が見られます。体重の1%は60kgの人で600mlですが、これだけの量の水分が失われる運動量は、夏ならウォーキングで1時間、ジョギングで30分程度です。冬はこれほどの量にならないとしても、20分から30分に一度は休憩をいれて、水分補給を心がけるべきです。
水分補給はウイルス対策にもつながる
冬期はノロウイルスなどによる感染性胃腸炎などを発症することがあります。これらも水分の補給を心がけることで、ある程度感染を防ぐことができます。水分は喉や鼻の粘膜を潤し、細菌などの侵入を抑えてくれます。だからこそ、こまめな水分の補給が大切なのです。
スキー場で水分補給が必要な理由
スキー場は乾燥している
スキーやスノボを楽しむ時には、意識して水分の補給を心がけなければなりません。なぜならば、スキー場では乾燥が進むからです。スキー場は一面が雪に包まれているため、乾燥などしていないように思われがちですが、実際は異なります。外気は乾燥している上に、スキーウエアは完全防寒仕様になっています。そんな中で時を忘れて滑っていれば、当然ウエアの下は汗だらけになり、水分が失われます。
スキーやスノボは運動量が多いため、脱水には気をつける必要があります。
寒さで利尿作用が促進される
冬期は寒さによる寒冷利尿という利尿作用が働きます。いわゆる寒さによってトイレの回数が増える現象です。また、山頂付近は標高が高くなればなるほど気圧が下がります。これはそれだけ乾燥していることを意味します。平地より乾燥している環境の中、汗や尿として体の水分は失われていくのです。たとえ喉の渇きを感じなくても、体からは確実に水分を失っているということをきちんと自覚すべきと言えます。
どうやって水分補給をしたら良いのか?
スキーやスノボをしているときに、どうやって水分を補給したら良いのでしょうか。滑ることに夢中になっていると、つい怠りがちになってしまうものです。また、乾燥は無自覚のうちに進んでいますから、事前に準備をしておかなければなりません。
レストハウスや休憩所の利用
方策の1つとしては、まず、こまめにレストハウスや休憩所に行くことです。できれば20分から30分程度滑ったら、必ずレストハウスで休憩を取りながら水分を摂るようにしましょう。これを心がけることでかなり乾燥を防げます。
飲料水の携行
次に常に飲料水を携行することです。山頂など遠くに行ってしまえば、いちいちレストハウスに戻ってくるのは面倒になります。そんな時は携行した飲料水を飲みましょう。
ただし、ペットボトルは気をつけなければなりません。なぜなら、長い間寒い場所にいると、知らず知らずのうちにペットボトルの中の水が凍ってしまうことがあるからです。そうならないよう、できれば小さな水筒を何本か身につけておくことをおすすめします。小さな水筒であれば服のポケットなどに入れておけますし、体の熱によって中の水が凍ってしまうことも防げます。
パックのゼリーなども便利です。簡単にポケットに入りますし、凍ってしまうこともありません。
以上のような方法であれば、どんなところでも簡単に水分補給ができますので、ぜひ試してみてください。
水分補給に適している飲料
スキーやスノボをしていて水分を補給する時、適している飲料があります。それはスポーツドリンクや経口補水液です。
失われるのは水分だけではない
まず、汗などによって大量の水分が体内から失われた時、ナトリウムやカリウムなど、電解質も同時に失っているのです。そのため、単純に水分だけを補給すれば良いというものではありません。
例えば、水を大量に補給すると、一時的に体液量が増えます。しかし、体液に含まれている電解質の濃度が下がり、それを一定に保とうとして、体は水分のみを排出してしまいます。こうなると、全く脱水状態は改善されないことになります。汗と共に水分と電解質が失われているのですから、当然、電解質も補う必要があります。
また、大量の汗によって体は塩分も失っているわけですから、塩分の含まれているものが適切ということになります。一般的には塩分濃度が0.1%から0.2%程度の飲料が良いでしょう。
この他、糖分も大切な成分です。糖質は腸管内での吸収を早めてくれますし、エネルギーの補給にもなります。基準としては4%から8%以内の糖質を含むものがおすすめです。ただし、糖質の濃度が8%以上になると弊害もあります。なぜならば、8%以上では胃から腸へ移動する速度が遅くなってしまうからです。
以上のような点を考慮すると、基準に合致している飲料は、いわゆるスポーツドリンクになります。
脱水症状を起こしたら経口補水液を
もし脱水症状を起こした場合は、スポーツドリンクでは間に合いません。このような時には経口補水液を利用します。こちらも電解質と糖分も含んでいますが、スポーツドリンクに比べるとナトリウムの量が多く糖分が少ないために、より早く水分を補給できる特徴を持っています。
まとめ
スキー場は私たちが思っている以上に乾燥しています。そのことを踏まえて、スキーやスノボを楽しむ時には、水分補給を心がけなければなりません。飲料は事前に準備しておくべきもので、脱水症状になってからでは遅いのです。また、脱水症状にならないための水分補給にはスポーツドリンクを利用し、もしなってしまった場合は、経口補水液を利用した方が良いということも覚えておきましょう。