滑りに慣れてフリーライディングを楽しむのもいいですが、キッカーを華麗に飛んでいる人見て、自分もチャレンジしてみたいと思ったことはありませんか?
今回はキッカーの種類や飛び方のコツ、キッカーが充実しているスキー場をご紹介します。
キッカーとは?各部の名称と種類
キッカーとは人工のジャンプ台のことです。ジャンプ台と聞くと上級者向けなのでは?と思うかもしれませんが、大きさや形状は様々なタイプがあり、初心者用が練習することを目的とした小さなキッカーもあります。
キッカー各部分の名称
キッカー各部分の名称は、形状が違っても共通なので覚えておきましょう。
アプローチ
飛ぶ前の助走をする部分です。アプローチでは、スピードや角度を調整して滑り降りていきます。スタート位置は技術やトリックによって変わります。
トランジション
弧になっている部分で「R」と呼んだりします。小さいと上方向に飛び上がる「アップ系」、大きいと前に飛び出る「ライナー系」と呼ばれます。
リップ
飛び出し口の部分です。トランジションの形状によって「リップが立っている」「リップが寝ている」という表現をすることもあります。
テーブル
リップから着地地点までの平らな部分です。テーブル部分は着地せずにジャンプで越えるべきところです。キッカーのサイズはこのテーブルの長さで計られ、例えば10mのキッカーというのは、テーブルが10mということになります。
ランディング
着地地点の部分です。そのまま滑り降りられるように傾斜のバーンになっています。
キッカーの種類と形状
キッカーにはいくつか形状があります。代表的な4種類のキッカーを紹介します。
ステップダウン
リップがランディングより高い位置にある形状で、一番代表的なキッカーです。滞空時間が長く、浮遊感を楽しめるのが特徴です。
テーブルトップ
台形のような形状をしています。リップとランディングの落差が少ないので飛距離は出にくいですが、その分ジャンプに失敗しても衝撃が少なくすみます。初めてキッカーに挑戦する方の練習におすすめです。
ステップアップ
ランディングがリップよりも高い位置にあります。落差がほぼなく、着地の衝撃がほとんどないので、サイズが大きくても安全性が高いです。ランディングが始まるテーブルの角に落ちてしまうことを「デコ落ち」と言いますが、ステップアップキッカーでデコ落ちをしてしまうと衝撃が大きく危険なので、テーブルを飛び越せる力量がついてからチャレンジしましょう。
キャニオン
「谷」という名前の通り、リップとランディングの間がすっぽりと穴が開いています。少ない雪でも大きなジャンプが出来るので、春先や雪の少ない地域にあることが多いです。しかし、失敗したときはかなりの衝撃を負うので上級者向けといえるでしょう。実力に自信がついてからチャレンジするようにしてください。
キッカーを飛ぶときの心構えやコツ
早速キッカーに挑戦!……する前に、必ずするべきことや心構えなどを確認していきましょう。キッカーはジャンプが決まればもちろんとても格好いいですが、できるまでには失敗はつきもの。ジャンプは失敗すれば怪我に直結しかねません。前準備をしっかりしましょう。
キッカーの大きさや状態をチェックしよう
飛ぶキッカーが自分に合っているか、しっかり確認しましょう。キッカーのサイズが大きすぎないか、ランディングの斜度は十分にあるかなど確認して、自分には合わないと思ったら飛ぶのはやめておきましょう。
またリップやランディング部分はたくさんの人が飛ぶにつれて状態が荒れやすいです。荒れた状態ではジャンプや着地も失敗しやすいので、きちんと整備されているかも確認しましょう。
自分に合っている状態の良いキッカーを見つけたら、まずは先に飛んでいる人を観察してみましょう。どのくらいのアプローチスピードか、飛距離はどの程度かなどを見て、自分が飛ぶときのイメトレをしましょう。
スピード調整をできるようになってからが鉄則!
キッカーを飛ぶときにもっとも気を付けることはアプローチのスピードです。スピードが速すぎては飛びすぎてしまいますし、遅いとテーブルに落下してしまうおそれがあります。理想のスピードに調整できるようになってからチャレンジするようにしましょう。
恐怖心があるうちは無理に飛ばない!
アプローチのスピードは完璧に調整できるようになることが大前提。そしてそのスピードはそれなりの速さでなくてはうまくトリックを決めることはできません。スピードを出すことが怖い場合はまずはその速さに慣れることが必須です。
ジャンプをすること自体、体が浮く感覚に慣れずに緊張するでしょう。浮遊感に怖さを感じていると体が動かず着地に失敗して怪我をしてしまう可能性も。その怪我をするかもしれない、という恐怖も体を硬くしてしまいます。はじめはうまくいかず転ぶことも多いでしょう。キッカーの初心者はプロテクターやヘルメットを着けることがおすすめです。
それでも恐怖心があるうちは無理に挑戦しないことが懸命です。焦ってもいいことはありません。キッカーは根性試しの場ではなく、技術を高めるものです。
体と気持ちのどちらも準備を整えてからキッカーには挑戦するようにしましょう。
キッカーを練習するならスノーパーク!パークでのルールを守ろう
いよいよキッカーを飛びたい!となったときに向かう先は「スノーパーク」。スノーパークとはスキー場に設置された、キッカーなどのアイテムがそろうエリアです。スノーパークで楽しむにはどんなことを気を付ければよいでしょうか。
パークにはキッカー以外にもアイテムが豊富!
パーク内にはキッカーの他にもたくさんのアイテムがそろっています。例えば代表的なものは、半円状に雪がくりぬかれた「ハーフパイプ」や階段の手すりのような「レール」など。それぞれのアイテムに、練習したり楽しんでいる人がおり、それぞれのスタート地点で順番待ちをしています。当然のことですが、順番を守って楽しみましょう。
アプローチへの横断はしない!
パークはアイテムが連続して並んでいることが多いです。基本的に、上から順番に並んで滑っていきます。飛びたいキッカーだけ途中からの割り込みをするということは言語道断。衝突や事故にも繋がりかねないので絶対にやめましょう。
連続する技術がない場合は、最初だけ飛んであとはサイドを滑り降りるなどその場のルールにしたがって他の人の邪魔にならないようにしましょう。
ランディングでは立ち止まらない!
スタートするときは、前の人がランディングから出てきたのを確認し、飛んだ先に人がいないことをよく確認してから滑り出しましょう。特にスタート地点からは、リップが邪魔でランディングがなかなか見えづらいのでしっかり確認してください。もしランディングに人がいると大怪我に繋がりかねません。
同じように自分もランディングで立ち止まることはやめましょう。もし転んでしまっても、なるべくすぐ起き上がり、コースの外に移動することを習慣付けてください。
順番を守って常に人の流れを把握しよう
パークとフリーライディングのゲレンデに柵などの境目がないスキー場は多くあります。さらに一面真っ白で見分けがつかないため、その気がなくても割り込んでしまうことがないよう注意しましょう。
また反対に、自分がキッカーを飛ぼうとしているときに、不意に周りから人が入ってくることがあるかもしれないという緊張感を常に持っておきましょう。自分のトリックのことだけに集中せず周囲にも注意を払って、気持ちよくパークを楽しみましょう。
キッカー充実!スノーパークが評判のおすすめスキー場7選
キッカーを飛ぶにはスノーパークがあるスキー場選びも大切です。スキー場にはボーダー向けのところやスノーパークのアイテムが充実しているところなどもたくさん存在します。その中からおすすめのスキー場を7つ紹介しましょう。
3つのパークでレベルに合わせて練習できる「エイブル白馬五竜&Hakuba47」
2つのゲレンデが一緒になっており、最長滑走距離は6,000mを誇るビッグゲレンデが「エイブル白馬五竜&Hakuba47」です。人気の白馬エリアの中でもパークが充実していることで評判で、初心者から上級者まで楽しむことができます。
白馬五竜側の「五竜スノーパーク」はサーフライド、スライド、ジャンプなど、様々な遊び方ができます。ナイターでの利用が可能なのも嬉しいところ。Hakuba47側には「Hakuba47ウィンタースポーツパーク」と「47PARKS」の2つのパークがあり、エキスパートはもちろん、ビギナーや子どもたちも楽しめるパークアイテムがそろっています。特にR6コースにはビギナー用の「R-6 SnowビギナーPark」があり、気軽にキッカーに挑戦することができます。
アイテム数が豊富な「HAKUBA VALLEY 栂池高原」
コース幅の広さと緩やかさは白馬エリア随一で、初級者やファミリーに人気なスキー場が「HAKUBA VALLEY 栂池高原」です。パークも初級者から上級者まで楽しめるフルスペックスノーパークである「TG PARKS」が人気です。
アイテムは12mのキッカーから7m、6mのキッカーまで種類も豊富。コースは途中でレベル別に2つに別れ、比較的優しく初級・中級者が遊べるパークと、もう1つはプロたちも練習する上級者向けの本格的なビッグアイテムがそろいます。
キッカーなどアイテムに入らなくても楽しめるサーフライドのコースもあり、アイテムに挑戦するのはまだ気が引ける人も、パークの雰囲気を楽しむことができます。
さらに春スキーのシーズンにはゲレンデ最上部の栂ノ森ゲレンデにパークが移動するので、シーズン中いつでも本格的なパークを楽しむことができます。
パークデビューにおすすめ!「竜王スキーパーク」
雲海を望める絶景テラス「SORA terrace」も人気な、北志賀高原エリアで最大規模のスキー場「竜王スキーパーク」。コースの数やバリエーションも豊富で、初級から上級までバランスよく誰でも楽しめます。
「ボーダー初心者の聖地」と呼ばれるほど滑りやすいゲレンデで、パークデビューにもおすすめです。特に「スカイランドパーク」は比較的簡単なアイテムが並び、練習にぴったり。また、竜王の地形を生かした「サーフライドパーク」は有名プロが監修しており上級者でもしっかり手応えのあるパークです。
パーククルーによるアドバイスも無料で受けることができるので、レベルアップしたい人はぜひチャレンジしてみてください。
日本最大級のパーク「X-JAM高井富士&よませ温泉」
「X-JAM高井富士&よませ温泉」はなんといっても日本一の広さを誇るスノーパークが有名なスキー場。プロライダーがプロデュースしており、アイテム数はなんと驚きの47。キッカーのサイズは2mの初心者用のものから14mの上級者向けまで8アイテムもあり、レベルに合わせてジャンプを練習できます。他にも2種類のハーフパイプや多彩なボックス、レールなどが揃い、滑れば滑るほどレベルアップすることができます。
また、超初心者でも挑戦できる「チャレンジパーク」には小さいキッカー・ポコジャンなど9アイテムがありパークデビューにぴったり。ジャンプやトリックを決める楽しみを味わうのに最適なパークです。
初心者も滑りやすさ抜群!「丸沼高原スキー場」
ゲレンデトップの標高が2,000mを超え、雪質に定評がある「丸沼高原スキー場」。「オレンジコース」内に全長1,300mのスノーパークが設置されています。アイテム数は23ありバリエーションも豊富。初心者でも練習に最適なアイテムが揃い、キッカーはもちろんボックス、レール、ヒップなど様々なアイテムを試すことができます。レベルに応じて楽しめるようコース設定がされているので、初心者でも安心して楽しめるレイアウト。上級者には2連キッカーやビッグサイズのアイテムなども用意され滑り応え十分。コース全体を流してのロングライドも楽しめます。
上質な雪質で初心者向けも多い「ノルン水上スキー場」
首都圏からアクセスがよく日帰りでも人気な、群馬県にある「ノルン水上スキー場」。「ENJOY PARK」はレベルに関係なく「すべてのユーザーが楽しめる」をコンセプトに作られたスノーパークです。アイテムのラインナップはポコジャンや2mキッカーなど、初級者が初挑戦したり、中級者が通って練習したりするのにぴったり。ライン取りによって自由に楽しむことができ、ナイターも利用可能です。
毎日12時からパークレッスンも開催しており、アイテムへの入り方など基本動作からしっかり、優しく教えてくれます。参加者も初級者が多いので気軽に参加できますよ。
初心者こそ楽しい!ビギナーパークもある「石打丸山スキー場」
越後湯沢エリアのなかでも歴史あるスキー場である「石打丸山スキー場」は、最長滑走4,000m、多彩な24コースと滑るだけでも大満足できるスキー場です。
スノーパークは全長500mのメインパークと、パーク未経験者も安全に楽しめるビギナーパークがあります。広さはもちろん、アイテム数やクオリティも国内トップクラスのスノーパークです。
メインパークには10~15mの上級者向けキッカーがそろい、今まで以上のエキサイティングを追求できます。さらに、世界最大級のハーフパイプ「ガンホーモンスターパイプ」は高さ6.7m、幅22m、長さ170mもの巨大さで、思う存分楽しむことができます。
ビギナーパークには1~5mサイズのキッカーやワイドボックスなど、基礎からしっかりステップアップできるレイアウトです。
まとめ
ボーダーなら誰もが一度はキッカーで格好よく飛ぶ姿に憧れを抱くもの。しかしキッカーに挑戦するには怪我のリスクも大きいことを認識しておきましょう。フリーライディングでしっかりとスピード調整やターンを身に付け、小さなキッカーから挑戦してみてください。いきなり大ジャンプを目指すのではなく、憧れのトリックを決められるようになるまで少しずつ練習することが大事です。そしてスノーパークを利用するときはルールを守って、マナーよく遊びましょう。
今シーズンこそキッカーデビューして、トリックを決める第一歩を踏み出してみてください。