初心者がスキー板を買う前に知っておきたい、最適な選び方

スキー 形状

アイテム

ウィンタースポーツを始めてみようと、スキー板を買いたいと考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、経験がないとどのような物を買おうか決められず、迷ってしまうこともあります。

できれば自分でポイントを押さえた上で選んだほうが、より自分に合った板を選ぶことができます。スキー板の種類や形状など、さまざまな選び方を紹介しますので参考にしてください。

スキー板はスタイルによって異なる形状をしている

スキー板 形

まずはスキー板の基本を知っておきましょう。一言でスキー板と言っても、さまざまなモデルやジャンルが存在します。

オリンピックで見かけるスキー競技だけでも、いくつかの種類が思い浮かび上がるのではないでしょうか。モーグル、アルペン、クロススキー、ジャンプ、これらはおよそ下記のスタイルに分類できます。

オールラウンド

いわゆる何でもOKのスキー板です。例えば圧雪されたバーン、新雪、コブ、パーク、オフピステ、どこでもOKということになります。そして対応幅が広いということは、下記でご紹介する全てのモデルをオールラウンドでカバーできる、という意味にもなります。

フリースタイルスキー

フリースタイルというと、360度などのエア、モーグルといったシーンが思い浮かぶでしょう。
くるくる回ったり、後ろ向きの状態でジャンプ台に進入したりすることが多いので、板の後ろのテールも板の先端のトップと同じく、少し上がっています。この形状はツインチップと言います。フリーな操作をよりしやすくなっているのが、フリースタイルの板ということになります。モーグルやクロススキーはこのモデルです。

デモ

デモはオールラウンドにかなり近いモデルだと言えます。ただし、デモモデルを履いて滑るシチュエーションというのは、より洗練された滑りを求める人がいる世界です。
例えばロングターン用のデモ板もありますし、ショートターン用も存在します。さらにはデモモデルのオールラウンドタイプもあり、シチュエーションで履き替えたりもします。インストラクターや基礎スキーという技術を学ぶ分野があり、そういった方々が主に利用するモデルです。

レーシング

デモが技術なら、レーシングはスピードに特化しています。純粋に競技用のモデルです。
スキー部に所属してアルペンレースに出るなら、レーシングモデルを購入することになり、アルペン競技用はこのモデルです。

バックカントリー

主に圧雪されていないバーンを滑るための板です。ファットスキーという言葉もあります。
オフピステとも言いますが、ゲレンデのように整備されていないエリアを滑るために作られているモデルです。相対的に幅が広い板で、体を浮かせる浮力を増加させられるような形状をしています。

ここで勘違いしてはいけないのが、「コース外は必ずしもバックカントリーやオフピステに該当するわけではない」ということです。
バックカントリーは別途ちゃんとガイドが付いたツアーが存在しており、海外ではヘリで山頂へ運んでのんびり滑って降りてくる、ヘリスキーというものも数多く存在します。
ある程度技術レベルが要求され、技術検定などで証明してから連れて行ってもらうケースもあり、ガイドが知り尽くしているとは言え、リスクや危険が隣り合わせという世界です。
「コース外を勝手に滑る」行為は大変危険なので、決して滑らないように注意してください。

特にこだわりのシチュエーションが無ければ、オールラウンドでOK

スキー オールラウンド
スキー板は板ごとに適したシチュエーションがあり、最適化のためにモデル選びを行います。ただし初心者がゲレンデを普通に滑って、フリースタイルを行ったり、コブにチャレンジしてみたり、ちょっとスピードや技術を追求してみたいという場合は、1本でおよそ解決できるオールラウンドの板を選べば、コストパフォーマンスが良くなります。

オールラウンドで上達してきたら、他の板へ買い替えを検討してみても良いでしょう。ここではオールラウンドについていくつかポイントを挙げておきます。

板の形状はスタンダード

オールラウンドはフリースタイルのようにツインチップではなく、トップのみ上がっています。そしてサイドカーブが比較的緩やかで、ロングターンのみ、ショートターンのみ、といった極端な形状ではありません。
ちなみに、デモモデルでもオールラウンドは存在することをお話しましたが、上級者はターン形状によって板を履き替えることもあるので、選択肢としてもかなり洗練されていきます。
そんな中でも、全てのシチュエーションに対応しやすいタイプとして、オールラウンドが存在するんです。

カービングについて

スキーでよく耳にするのがカービングです。これはターンの技法とも言える言葉で、どんな板でもカービングターンは可能です。当然ながらターンしやすかったり、し難かったりとあるのですが、オールラウンドなら問題なく行えます。
オールラウンドよりもカービングしやすい板というのは、テール幅が広くなっていたり、サイドカーブがロングターン用に作ってあったり、ショートターン用に作ってあったりと、デモのお話に変わってきます。
ロングターン用のサイドカーブで滑ったとしても、ショートターンは可能といえば可能ですが、かなり滑りにくくなり、または技術が必要になります。ショートターン用の板も然りで、気持ちのいいロングターンは難しいと言えます。
逆に、オールラウンドの板でもカービングは可能です。圧倒的に使いやすいのが、オールラウンドなんです。

板が柔らかい=しなりやすい物が多い

板の硬さは技術レベルやシチュエーションによって必要なレベルが変わってきますが、一般レベルであれば柔らかい板の方が滑りやすく、上達も早くなります。オールラウンドタイプであれば、初中級者にとって最適な柔らかさの板がたくさんあります。

スキー板の選び方について【長さ】

スキー板 長さ
オールラウンドスキー板を選ぶ時、長さを確認します。

基本は、直立して板を目の前に立て、先端がアゴの辺りぐらいが適切な長さと言えるでしょう。
合わせて以下の項目を確認して下さい。

・スキーレベルと身長
技術レベルは結構重要なポイントです。実は長ければ長いほど扱いは難しく、しかしスピードを出した時の安定性が増します。
すごく短い板でくるくる回っている人をゲレンデで見かけたことがあるかもしれませんが、短いと扱いやすくなるんです。
従って、初心者はもうちょっと短い板で滑ったほうが、上達は早くなると思われます。
身長から-10~15cmとも言われていますが、アゴ基準で少し短いモデルも検討してみましょう。

・体重
次に考慮したいのが体重です。
先程、柔らかい板の方が上達は早いというお話をしましたが、体重によって発生するしなりの大きさは上達に関係しにくいです。
体重が100kg以上といった方は、滑りにくい可能性が高いので少し硬い板を検討しましょう。
結果、板の長さが少し長くなる可能性もありますが、自分の身長を超えなければ問題は無いでしょう。

オールラウンドスキー板を選ぶ時の【スリーサイズ・サイドカーブ】

スリーサイズ スキー
スキー板のスリーサイズは、トップ、センター、テールです。この数値はサイドカーブ具合を指すので、商品説明で書かれていたりするのですが、一般の人には良く掴めない数値なのではないでしょうか?

・スリーサイズの数値は参考程度でOK
スリーサイズの数値次第で、その板がどのようなターンを中心に滑りやすく作られているのか、ある程度把握できます。
が、上級者でもなければ、あまり気にしてもイメージし難いので、店員さんに「このサイドカーブ具合だと、どんな滑り心地ですか?」と聞いてみるのが一番です。

・センターについて
そもそもオールラウンドの場合、トップが一番広くてセンターでしぼみ、テールはトップほど幅がない板を指します。
センター部分はブーツを固定するバインディングが乗っかる部分ですが、バインディングとほぼ同じ程度の幅なのが、一般的なオールラウンドと言えるかと思います。
ということで、センターは太すぎず細すぎず、一般的なサイズを選びましょう。

・トップとテールについて
トップの幅が広いと、ターンの始動が入りやすくなります。ですが現在の板は一般的にトップの形状が幅広なので、「ターンに入りやすいですか?」程度で質問してみると良いでしょう。
テールは少し意識すると良いです。
テールの幅が広いと、カービングターンなどはより切れ味鋭く滑ることができます。つまり、ずらし難くなるので、扱いが多少難しくなることもあります。
これはコブ斜面でも影響して滑りにくくなるので、あちこち滑りたい方は広すぎないモデルがオススメです。

・テールとエッジ
仮にテールが広めの板を選択するケースを考えて、エッジも合わせて頭に入れておくと良いかもしれません。
スキー板を購入決定後、ショップの方にエッジの調整をお願いしましょう。又は、初回メンテナンスサービスがあるショップを探しても良いでしょう。
この時、「テールをずらしやすくして下さい」と伝えるのでOKです。
エッジの角を少し落とす=削る調整を行うだけで、劇的に扱いやすくなります。
ちなみに自分でも作業は可能ですが、取り返しのつかない削り方をしてしまう可能性もあるので、たとえ有料であってもプロに依頼しましょう。

初心者が押さえておきたい、スキー板を選ぶ時の注意点

スキー 初心者
色々とご紹介してきましたが、下記を参考にして最適のスキー板を探してみて下さい。

知識が豊富なスタッフに相談する

どこかの情報で数値を拾ってきたところで、イメージできなければ納得もいかないでしょう。スキー板の販売員は、メンテナンスを行ったりもするプロもいますので、知識も経験も豊富です。
3つ程度に絞ったら、スタッフの方を意見を聞いてみましょう。その時は、自分がどのようなレベルで、どういうシチュエーションを滑ろうと考えているのか伝えると、より的確なアドバイスが貰えます。もちろん最初からお任せしてしまうのも一つの手です。

安定性重視

最終決断する場合において、最優先は安定性に重点を置いてみましょう。長さで言えば、より長いほうが安定しますし、自分の体重との兼ね合いも再確認です。
また、少しフリースタイルにも興味があるな、という場合は、普通に滑るよりも板に力がかかるシーンが増えるため、少し硬い板の方が安定性は増します。

スキー板はまずレンタルで 使い心地を確認してからでもOK

レンタル スキー
オススメしたい方法が、レンタルサービスの活用です。
昔のゲレンデにある用品レンタルについて、あまり良いイメージを持っていない人もいるでしょう。しかし、最近のレンタルサービスは、かなり行き届いているショップも存在するので、そこで履いた板の中から良いものがあれば、覚えておいて同タイプを購入するのも賢い選択です。
レンタルスキーのサービスが充実しているスキー場を、いくつか紹介します。

舞子スノーリゾート

首都圏からのアクセスが抜群な舞子スノーリゾートは、レンタルサービスにもかなり力が入っています。
ブランドバイキングレンタルシステムでは、販売されているブランドの70%以上を取り扱うという充実っぷりです。
嬉しいのがフリーチェンジシステムです。1日に何回でも板の交換が可能なんです。当然、自分に適した板を選びやすくなるので、活用しない手はありません。午前にスキーを楽しみ、午後にスノボに交換することも可能です。スキーとスノボの両方楽しみたいという人にとって嬉しいシステムです。

苗場スキー場

圧倒的な知名度を誇る苗場スキー場でも、強力なレンタルサービスが提供されています。プリンスホテル宿泊者専用のレンタルブースがホテル施設内にあり、自分の部屋からゲレンデまでスムーズに行くことができます。レンタル時間内であれば、メーカーやボードの変更ができるサービス、「フリーチェンジシステム」が苗場にもあります。1日1回のみ利用できるサービスですが、板選びに迷ってしまった時は利用してみましょう。
またスキー板のブランドとして、トップメーカーの1つでもある「SALOMON」のレンタルサービスもあるので、「SALOMONの板を履いてみたいな~」という方は、こちらもオススメです。SALOMONはデザインもカッコイイ物が多いので、買う前にお試しできると思うと、かなりお得感がありますね。

斑尾高原スキー場

関西方面から数多くのツアーが存在する斑尾高原も、レンタルサービスがオススメのスキー場の一つです。こちらはパウダーステーションというスキー場直営のレンタルサービスがあります。
色々試してみたい方は、追加費用が500円で他の板に履き替えできるので、利用してみると良い板が見つかるかもしれません。

レンタルサービスを利用する際に便利なのが、技術検定資格です。スキー技術の検定があり、日本国内では2つの団体が行っていて、どのスキー場でもスキースクールが主催してバッジテストが行われています。レンタルを申し込む時に、資格を記入する項目があるのですが、的確に自分の技術レベルを伝えることができます。
上位の資格を所持していると、より本格的なモデルのレンタルも可能になったりと、色々違いがありますよ。またショップでも明確に技術レベルが伝わりますし、バックカントリーの場合、海外では資格を元にして連れて行ってもらえるエリアが決定することもあるので、興味がある方は検定を受けてみましょう。

まとめ

スキー板選びのポイントは、上達するための準備とも言えます。技術レベルに合ったスキー板の選択が、上達速度にも直結してきます。
板の選択をミスすると、「なかなか上達しない」と思い込んでしまう人もいるでしょう。
自信の有無も滑りに直結しますし、何より楽しく有りませんよね。

今回の内容を参考にして、自分に最適なスキー板を探してみて下さい。

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