菅平高原スノーリゾート◆ワイドなエリアに個性的なゲレンデがいくつも広がる名門スキー場

特派員現地レポート

信州上田市の北東に位置する菅平高原スノーリゾートは、3つのエリアで構成される広大なスキー場。標高約1,300mの高原は内陸性の気候のため、冬場は特に低気温。シーズン中の長期間にわたって、抜群の雪質を満喫できます。根子岳山頂直下までアクセスするスノーキャットや、自分の滑りを動画で見ることのできるゲレロクなど新たなシステムも導入され、スノーシーズンのお楽しみバリエーションが広がっています。

パインビークオオマツゲレンデから見た菅平高原スノーリゾート全景。正面中央の白い山が根子岳。その左側中腹に開かれているのがダボスエリアで、左手前に太郎エリアのいくつかのゲレンデが見える。ちなみに根子岳の右奥にそびえているのは日本百名山のひとつ四阿山(あずまやさん)

菅平の中心、「太郎エリア」には5つの個性的なゲレンデ。自分の滑りを動画撮影してくれるゲレロクにも注目!

菅平は昭和初期のリフトがまだない時代からスキー愛好家に親しまれ、各種の競技会も戦前から開かれていたという日本の伝統的なスキー場のひとつ。現在は「太郎エリア」「ダボスエリア」「パインビークエリア」というそれぞれ広大な3つのエリアをまとめて「菅平高原スノーリゾート」と呼んでいます。

「太郎エリア」は位置的に菅平の中心というロケーション。太郎山のピークを中心に、南西側に表太郎ゲレンデと白金ゲレンデ、南側に日の出ゲレンデと天狗ゲレンデ、北東側に裏太郎ゲレンデが開かれています。太郎山自体が比較的急峻な地形ため、それぞれのゲレンデのメインコースは中~急斜面が中心。そこにいくつもの迂回コースや林間コースが切り開かれていて、技術レベルを問わず楽しめるようになっています。

このエリアでちょっと注目したいのは、天狗ゲレンデに設置された「ゲレロク」というシステム。これはスマホにアプリをダウンロードし、滑るコースと秒数を設定すると自分の滑りが動画で撮影されるというもの。動画データはスマホに自動転送されるので、すぐに見ることが可能。滑りのトレーニングはもちろん、遊びの記録にだって利用できるユニークなサービスです。インスタ映えならぬゲレロク映えを狙うのもアリかも?!

「太郎エリア」は歴史が古いだけに、全体的にちょっとレトロなスキー場の雰囲気。太郎山をグルリと囲むように配された個性的な各ゲレンデを、滑りながら巡っていく楽しみもあります。

上田市から菅平へと至る道を走ってきて、最初に突き当たるのがここ日の出ゲレンデ。上部はやや斜度があるが、全体的にはなだらかで整備もよく、初中級者にとって滑りやすい環境
日の出ゲレンデの右隣にあるのが天狗ゲレンデ。正面バーン、特にリフト沿い上部はかなり急斜面。このゲレンデが「ゲレロク」のコースとなっている
天狗クワッドリフト(600m)の降り場がゲレロクのスタート地点
天狗ゲレンデは急斜面なので、初級者のために迂回コースが用意されている
天狗クワッドリフトの降り場は太郎山の山頂。太郎エリアの各ゲレンデに滑り込んでいくことができる
天狗クワッドリフト降り場から、太郎山の尾根を進んでいく。この尾根の右側が裏太郎ゲレンデで左側が白金ゲレンデ
裏太郎ゲレンデの一番奥のかもしかコース。広々とした中斜面が広がる。大きく迂回する緩斜面コースがあるので初級者も安心。正面のゲレンデは裏ダボス
白金ゲレンデは裏太郎ゲレンデと尾根を挟んで反対側。ワイドな一枚バーンで、スピードに乗ったロングターンが気持ちいい、正面のひし形のゲレンデはパインビークツバクロゲレンデ

根子岳の大自然に抱かれた「ダボスエリア」はまるで日本のスイス!

「ダボスエリア」は、須坂市に抜ける大笹街道を挟んで裏太郎ゲレンデの対面側。「ダボス」という名称は、もちろんダボス会議で今や世界的に知られるスイスの保養地DAVOSから。1927年に細菌・ウイルス学者の矢追秀武博士が、菅平の雰囲気はDAVOSのようだと言ったことから命名されたのだとか。また、1929年には近代スキーの祖、オーストリアのハンネス・シュナイダーも来日し、菅平の大自然を称賛しています。そんなことから、菅平はDAVOS市とは姉妹都市の関係にあるのです。

「ダボスエリア」に広がるゲレンデは、根子岳側から奥ダボスゲレンデ、表ダボスゲレンデ、裏ダボスゲレンデ、そしてシュナイダーゲレンデ。標高2,207mの根子岳中腹に開かれていて、広大かつロングランが楽しめる環境です。

奧ダボスゲレンデの頂上エリアからは、スノーキャット(雪上車)が根子岳山頂直下まで運行しており(積雪や天候状況で中止することも)、4kmのダウンヒルが可能。天気がよければ、山頂からは北アルプスや上信越、上州の山々、そして富士山まで360度の眺望が楽しめます。

「太郎エリア」とは、裏ダボスゲレンデ下部と裏太郎ゲレンデ下部が道路の下のトンネルで結ばれているので、スキーやスノーボードを装着したまま行き来することができます。

ダボスエリアの最奥、奥ダボスゲレンデの山頂付近。ここもやっぱり真田の里。正面にパインビークオオマツゲレンデと太郎エリアの裏太郎ゲレンデ、そしてパインビークツバクロゲレンデが見える
根子岳山頂にアクセスするスノーキャットは奥ダボスゲレンデのトップから出発。この日は残念ながら悪天候のため運行中止。スノーキャットも車庫の中
根子岳の上部はこんな感じで雲に覆われていた。晴れていればさぞ素晴らしい景観だろう
奥ダボス第3ペアリフト(313m)側のゲレンデから奥の第1トリプルリフト(フード付963m)を俯瞰。奥ダボスゲレンデは標高が高く広大なエリア
奥ダボス第2トリプルリフト(341m)を上がると、そこは平らな台地。表ダボスゲレンデの最上部とつながっている
表ダボスゲレンデはビートリフト(724m)の左右にコース展開。広大なスペースだ
表ダボスゲレンデの頂上部から裏ダボスパノラマコースを経て、ダボスエリア最下部の裏ダボスウェーブコースへ。通して滑るとかなりのロングランが可能
「ダボスエリア」と「太郎エリア」は、国道(大笹街道)の下をトンネルで結ぶ。正面は「太郎エリア」のシーハイルコース。急斜面で各種の検定などが行われる。その左側に見えるのが、超高難度の裏太郎チャレンジコース

FIS公認の本格アルペンコースも。独立エリアの「パインビークエリア」はちょっとしたスキー道場

「パインビークエリア」は、太郎山の西側にそびえる大松山とつばくろ山のそれぞれ北東斜面に開かれたスキー場。パインビークオオマツゲレンデと、パインビークツバクロゲレンデで構成されています。完全に独立したエリアなので、「太郎エリア」や「ダボスエリア」から滑っていくことはできません。

 

パインビークオオマツゲレンデは、中央のリフトを挟んで左右に幾本ものコースが開かれ、上部のリフト寄り斜面は斜度がきつく、中~上級向き。FIS(国際スキー連盟)公認の大回転コースや回転コースがあり、各種の競技会もよく開かれています。

一方、左側に迂回するコースは比較的なだらかなので初級者向き。ゲレンデ下部はワイドな緩斜面が広がり、ファミリーユースにも好適です。

パインビークツバクロゲレンデは、パインビークオオマツゲレンデを少しこぢんまりとさせた感じ。やはりゲレンデ中央にリフトが架かり、その左右にコースが開かれています。菅平でも奥まったところに位置しているせいか比較的空いていて、穴場的ゲレンデといえるでしょう。

パインビークオオマツゲレンデとパインビークツバクロゲレンデは連絡コースで結ばれていますが、コースは途中平らな部分が長くあり、少々歩くことになります。そんなわけで、スノーボード場合、連絡コースで移動するのはちょっとツライかも。

パインビークオオマツゲレンデ全景。上部は急斜面、真ん中から下部は緩斜面エリア。競技会に適した斜面がいろいろ
こちらはパインピークツバクロゲレンデ。ちょっと離れた場所に存在。穴場的スポットであり、合宿などに使いやすいゲレンデ
オオマツ第1クワッドリフト(781m)からアルペンコース(正面)を望む。リフト下にポールがセットされているのはFIS公認大回転コースのチャンピオンコース。この日も競技会が開催されていた
オオマツ第5ペアリフト(766m)の右側に広がるのはファミリーコース。その名の通り、小さな子ども連れ家族も安心なゆったり緩斜面
大松山の山頂直下はかなりの急斜面。モーグルバーンが用意されている
パインビークツバクロゲレンデはオオマツエリアの縮小版。レーシングチームのトレーニングが行われていた。空いていてゲレンデはほぼ貸し切り状態

各ゲレンデに食事処が多数。メニューのバリエーションも豊富

菅平は歴史の古いスキー場。近代になってから総合開発されたようなスキー場とは異なり、いわゆる菅平高原全体のスキーセンター的な施設がありません(各エリアにはそれに相当する施設あり)。

菅平高原自体が昔からのオールシーズン型リゾートということもあり、広域にわたって宿泊施設が多数点在しています。それぞれのゲレンデにも多くの食事処やレンタル施設があり、どこを滑っていてもすぐにランチや休憩ができるという点でとても便利。各食堂には特色があり、メニューのバリエーションも豊富です。

パインビークエリアにはセンター施設がある。中にはレンタルショップや更衣室、休憩室などが用意されている
パインビークエリアの食事処のひとつ、モンテローザでランチ
マーボ丼をオーダー。運動した後のすきっ腹にドッシリと溜まる
太郎エリアはカフェや食事処が多数。こちらは白金ゲレンデのホテルシュワルツに併設されているレストランシュワルツ
日の出ゲレンデ正面にはヤッホー食堂が。ヤッホー食堂は各エリアに支店があり、菅平ではよく知られた食事処
太郎エリアではヤッホー食堂でカレーうどんをオーダー。ボリュームがあって体が温まる

菅平高原のスノーリゾートを満喫したいなら宿泊付きプランがおすすめ

オリオンツアーの菅平高原スノーリゾートプランは、朝発と夜発の日帰り、また朝発と夜発の宿泊付きと、バリエーションが豊富。菅平高原は信越エリアの中では比較的首都圏から近場であり、また高速道路でのアクセスもいいことから、朝発日帰りでも現地滞在時間は約5時間半とロング。たっぷり滑ることができます。

ただし、菅平高原スノーリゾートのゲレンデは非常に広域にわたっているため、全部を滑り尽くすのは1日ではとても無理というもの。スノーキャットで根子岳に行ったり、各エリアのいろんなゲレンデやコースを楽しんでみたりしたいというのなら、宿泊付きプランにすることをおすすめします。(取材日:2019年2月22日)

今回の菅平高原スノーリゾート取材では、パインバークエリア近くの「VAN SQUARE GADEN」に宿泊。コンクリート打ちっぱなしの、ちょっと近代的な雰囲気の宿泊施設

・オリオンツアー 菅平高原スノーリゾートプラン https://www.orion-ski.jp/ski_area/gelandes/show/172

・菅平高原スノーリゾート オフィシャルWebサイト http://sugadaira-snowresort.com/

 

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